惨事の「個人的な体験」を聞く質問法

メンタルレスキュー協会では、惨事後の体験を聞くことを重視しています。

このようなカウンセリングに慣れていない人は、体験を聞くこと自体にためらいを持ち、たとえ聞こうとしても、「つらかったでしょうね」「苦しかったでしょうね」と一般的な感想から切り出しがちです。ところが、惨事後の人は、それぞれ他人と違う個人的な体験を持っているのに、周囲に気を使って、それを言葉にできないままにいることが多いのです。

部外者として支援するカウンセラーは、部外者だからこそ、その個人的な体験を聞ける立場にあります。ところが、冒頭のような一般的な言葉での導入では、あまり上手に個人的な体験を引き出すことができません。では、どうしたら、個人的な体験を語ってもらえるのでしょう。

 

東日本大震災の直後から通算1年以上、気仙沼でカウンセラーとして支援してきた国重浩一さんの講演の話を、メンタルレスキュー協会会員から聞きました。

国重さんは、個人的な体験を引き出す質問の形式を提示してくれたそうです。

「今回の体験は、あなたにとってどのようなものだったのですか」

「今回の体験は、あなたの人生にどのような影響をもたらしたのでしょう」

「今回の体験は、日常の暮らしにどんな影響をもたらしていますか」

「今回の体験で、自分と周囲の方の受け止めかたが違うと感じているところがありますか」

などです。

 

惨事の後の個人的な体験を語ってもらおうとするとき、どれも素晴らしい誘い水になる質問だと思います。ぜひ参考にしたいものです。

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コメント: 1
  • #1

    塩坪純 (木曜日, 04 8月 2016 22:24)

    Co:帰省できるんですね。それじゃぁ、地元のお友だちともゆっくりお話しがで
      きますね。
    CL:...気づまりなんです...(中略)...校舎の前に家があったか後ろにあったか   で、思い出のモノが残っているかどうか...私は残っている方だったんです
      が...

    カウンセリングの中でたまたま被災地出身のクライアントさんだとわかったのですが、こんなやりとりがありました。