「大人の心の学習法」1

新しいことを覚える難しさ

 

 私は、これまで多くの人に、カウンセリングや感情のケアスキルをお伝してきました。

じつは平たく言うと、覚えの早い人とそうでない人がいるのです。

その違いはどこにあるのでしょう。

 

一言で言うと、大人の心の学習法を知っているか、知らないかの差だと思います。

「大人の心」を鍛えるということは、同時に大人の学習法を身に着けることでもあります。

大人の学習法は、「正しい答えがない」というところに特徴があります。

「ない」というのは正確ではなく、「正しい答えは人それぞれ」と言うべきでしょう。

また、いったんたどり着いた答えも、状況が変わると変化します。

ですから正しい答えがある学校教育で優秀だった人が、必ずしも生き方スキルの学びがスムーズなわけではないのです。

学校教育で優秀だった人の半分は、生き方スキルの習得に大変苦労します。一方で、生き方スキルの習得でも非常に優秀な方もいらっしゃいます。センスですね。

 

私は、学校教育はそこそこ(笑)でしたが、おそらく大人の学び方については、自衛隊でカウンセリング関連の仕事をする過程で、だいぶ鍛えられてきたと思います。私は、カウンセリングに関して全くの素人であったにもかかわらず、自分で「できる」ことが求められただけでなく、すぐに人に教えなければならない環境に置かれました。また、カウンセリングを教えてくれる師匠的な人が近くにいたわけでもないのです。ですから学びは試行錯誤。一方で、実体験の場は豊富でした。

現実から学び、学んだことを体系づくり、さらにそれを教えていく過程で、「大人の学習法」を身に着けた、いえ、身につけざるを得なかったのです。一方で、カウンセリングや自衛隊の実技や戦術を人を教える中で、成長の早い人の特徴を見つけることもできました。逆に言うと、大人の学習法を身に着けるコツともいえます。

それらをこれから数回に分けてご紹介したいと思います。

お楽しみに。