大人の心の学習法(5)

読んだだけでやってみない人は成長が遅い!

ある講演で、メッセージコントロールというカウンセリング技法を紹介しました。この講演ではいつもそうなのですが、参加者が「本当に目からウロコでした」と大変満足してくださいます。

ちなみに、メッセージコントロールの基礎は、オンライン講座でも学べます。

Udemy3分でコミュニケーションが劇的に変わるメッセージコントロール講座」、メンタルレスキュー協会HPのトップページにリンクがあります)

その時も、講演が終わってから、感激した数名の受講生が「ありがとうございました」とわざわざお礼を言いに来てくださいました。

そのうちの一人が「先生、とても感動しました。実は先生、私はこの本を読んでいたのです」と私の「目からウロコのカウンセリング革命(日本評論社)」と「相談しがいのある人になる(講談社)」を見せるのです。そして、続けてこうおっしゃいました。

「先生の講座に参加して、すごくよく理解できたのですが、でもご本を読んだだけではピンときませんでした。もう少し文章表現を工夫してくださるか、図を入れるか、漫画なんかで説明したほうが良いと思います」

私は、「ありがとうございます。参考にします」とお答えしましたが、少し複雑な思いでした。

というのも、通常講演でお話しできる内容より、本の方が細かいところまでしっかりと書いてあります。しかも、講談社の本の方は編集者の努力のおかげで、かなり多くの図や表などを入れてあるのです。

つまり、情報の発信側としては、出来るだけのことはした…という思いがあったのです。

帰りの電車の中で、そのことを考えていました。あの方が本を読んだ時と、講演では何が違ったのだろう。

いろいろ考えて、行き着いた答えは、「講演では実習をしてもらっている」ことが大きかったのではないか、ということです。

人は、文字を読み、話を聞き、イメージを作ります。でも、たいがいそこで終わり。ところが実際に行動に起こしてみると、またかなり違った実感を伴うものです。その実感が、学習を進めます。

真面目な方ほど、たくさん本を読みます。勉強をしているという実感を得やすいのでしょう。しかし、スキルそのものに対する成長の実感は十分ではない。

もし勉強家のあなたが、その努力に応じて実力が向上していないとすれば、あなたに足りないのは、「行動して、感じてみる」ことです。

 

学んだら試す。これが大人の学習法の一つのルールです。