大人の心の学習法(8)

その自信のなさは、子どもの心が強すぎるからかも…

 本HPや感情のケアプログラムが目指す「大人の心の強さ」とは、柔軟性のある心の強さです。

 一方、「子供の心の強さ」は一見まさに「心が強い」と感じます。というのも「忍耐強さ」がその主体となっているから。

 忍耐は確かに必要ですが、そこに重きを置きすぎると、状況の変化に応じられず、実社会で苦しむ原因となりやすいのです。「大人の心の鍛え方」参照

 子どもの心は、多くの人が小さいころから指導され、学校でも鍛えられてきたものです。社会でも重要な要素なので、いわゆる優秀な人は、ある程度の子供の心の強さを身に着けている。

 ところが、子供の心が強すぎる人は、大人の心を身につけにくい傾向があります。大人の心の柔軟性を、「逃げ」とか「あきらめ」「怠惰」「弱さ」としてしか、解釈できないからです。思考の柔軟性が少なくなっていのです。

 子どもの心の、もう一つの弱点は、根底の自信が育ちにくいということ。

 子供時代は、正しいことは「親と先生と教科書」の中にありました。おなかがすいたとか、勉強したくない、今は算数ではなく理科を勉強したい、などという自然な欲求は、ダメなものとされ、それ等を上手に否定できた人が、良い子だったのです。

 自信とは、自分を信じると書きます。自分の感性を否定して育ってきているのですから、自信が育ちにくいのも当然ですね。

 

 欧米人に比べても、日本人の自信のなさは顕著です。2011年、日米中の高校生3400人を対象に行われた調査によると、「自分は他人に劣らず価値のある人間である」と感じる割合が、アメリカ89%、中国95%であるのに対して、日本はわずか38%。

「自分には誇りに思えるようなことがない」と答えた割合は、アメリカ24%、中国23%であるのに対して、日本は53%だったのです。

 もちろん、日本は自分の存在を強調する文化ではない。それを差し引いても、少し自信なさすぎですよね。

 ほんとうは子供たちにこそ、感情のケアプログラムが必要なのかもしれません。