下山する勇気ではなく下山する計画が重要

 いよいよ暮れも押し迫ってきました。今年もいろんなニュースがありましたが、中でも心を痛めたのが、3月27日に栃木県那須町であった雪崩事故。登山講習中の高校生ら8人が亡くなりました。先日、テレビを見ていたら、あるアルピニストがそのことに触れ、「下山する勇気と言われますが、本当に大切なのは勇気ではなく、下山する計画があったかどうかです」とコメントしていました。

 私も、うつのリハビリの支援をしていて、常にそう感じます。
 うつのリハビリは、順調に回復していると思ったら、何の理由もなく谷底に落ちるという波を描きながら良くなっていきます。調子が悪化してきたときの基本対処は休むことです。休みさえすればほとんどの場合、つらい波は次第に回復する。ただ本人は、せっかく積み上げていた回復の感じを捨てて、また「休む」というステージに下がることに、とても恐怖と罪悪感(せっかくここまで良くなってきたのに休んだらまたダメな自分に戻るのではないか…、ここは頑張って乗り切りべきではないか…)を感じるのです。結果として休むタイミングが遅れ、疲労が悪化し、うつの回復自体に大きな遅れが出ることがあります。
 リハビリの山を登るときは、必ず何度かの下山の計画を立てておく必要があります。計画があれば、下山する決心も行為も容易になります。
 ただ、計画を立てられるようになるには、その山の特性や登山自体について、ある程度の知識が必要ですよね。
 私が理事長を務めるNPOメンタルレスキュー協会で、来年2月10日(土曜日)に、うつからの職場復帰を支援する方々向けの公開講座を開催します。興味のある方はどうぞ(^^)/