でも記憶も重要

前回は、考える力を育成する教育改革について書いてみました。

「何を知っているか、どれだけの期間、どんな権威の下で学んだか(たとえば何大学卒、だれ先生の下で修業)」などを重視する価値観が見直され、より現実的な能力を鍛える教育に変化しつつある動きは、大変歓迎すべき流れだと思います。

一方で、「覚えるって大切だよな…」とも思う、今日この頃なのです。

 

実に卑近な例で申し訳ないのですが。私はスポーツが好きで、今もちょっと時間があれば、近所の公園でテニスの壁打ちをやっています。

もともと運動神経は悪い方ではなく、どんな運動もある程度こなせるが、一流選手のようにはなかなかなれません。ただ、そこが私がスポーツを愛する理由の一つでもあります。練習して、ああこれだ、とコツをつかんでも、次にはうまくいかない。試行錯誤の中で徐々にうまくなっていく。その過程を楽しめるのです。

でも、やはり早くうまくなりたいという欲求はもちろんあります。

自分を観察し、問題点を仮説し、検証する。いわゆるPDCAサイクルを回しながら、自主トレしています。

 

そこで、最近思うのが「やっぱり覚えること(記憶)も大切」ということ。以前発見したコツを、すぐに忘れているのです。

例えば、ある時の練習で、「ポイントは打点の位置だ」とひらめいたとします。ひらめきがあるとうれしい。でもその興奮が少し治まると、以前にも打点がすべて!と納得していた自分を思い出すのです。

底力が上がってきたから、同じポイントでも違う意味がある…と考えることもできますが、実は単純に忘れているだけのことのような気がします。

私の練習は、数日に小一時間ほどですが、高校生の強豪校の部活なら毎日4~5時間、しかもコーチ付。修正ポイントを忘れないうちに反復練習できるのです。

 

きっと、感情ケアやカウンセリングのトレーニングも同じなのだろうと思います。講座の中で、これは素晴らしいと思って、何となくコツのようなものをつかんでも、ちょっと時間が空くと忘れてしまい、また振出しに戻る。積み上げるためには、どうしても練習機会を多くしなければなりません。

メンタルレスキュー協会の各種講座や、感ケアのフォローアップ講座は、一度で終わるものではなく、積み上げのためにも、ぜひ活用してほしいと思います。