感情をケアすることの意味

私たちは、感情をコントロールしたいと思っています。おそらく西洋文明の影響でしょう。感情を理性でコントロールしてこそ立派な人間、立派な大人という感覚です。

でも、私はちょっと違うと思うのです。

確かに感情は全くコントロールできないわけではない。でも、理性より、自然な欲求や感情の方が圧倒的に強いのです。例えば、満腹の時、気合を入れたり、いろいろ考えて工夫したりして、もう少し食欲を刺激とすることはできる。でも、ある一定以上は、無理です。本当に食欲を出そうとするのなら、空腹にするのが一番。

これが現実なのです。本当の「大人」は、理性は本能(欲求)に負けるという現実を否定せず、その中で最善を尽くそうとします。

アンガーコントロールが注目を集めていますが、感情をコントロールするという、上から目線の発想は、万能感を刺激しますが、結局、「できないこと」を自分に課してしまいます。そんな時、西洋人は「仕方ないじゃない」と割り切るかもしれませんが、日本人は、うまくいかない原因を自分に求め、自信を失い、その結果、余計に感情的になるという悪循環に陥りがちです。

日本人に合うのは、感情をコントロールしようという試みより、「感情を尊重し、折り合っていく姿勢」の方。それが私の提唱している感情のケアプログラムの本質なのです。