お悩み相談の回答通りにできないと悩むクライアント

カウンセリングでは、「訴える悩み(主訴)が同じでも、その困り具合(苦しさ度合い)が違うと、クライアントが求めるものも違う」ということを意識しなければなりません。

例えば、上司が嫌いという主訴。それで、死にたくなるぐらい悩んでいる人は、会社を辞めるかどうかの議論が必要な場合も。一方で、それほど悩んでいない人には、具体的な対処策ではなく、愚痴を吐き出してもらったり、本人の努力を認めたりすれば落ち着く場合が多いでしょう。少しだけ悩んでいる人には、自分の正当性や能力を認めたり、そこで働く目的を意識してもらったり、励ましたり、気合を入れることが、効果的な場合も。

クライアントが何を求めているかは、クライアント自身も、話してみるまでわからないことが多いのです。お腹がすいていないと思っていても、食べているうちにどんどん食欲がわき、たらふく食べてしまうことがあったり、嫌だと思っていた外出も、出てみれば楽しかったということがあります。あれと同じですね。

経験のあるカウンセラーは、主訴を聞いても、最低5パターン以上の解決イメージを頭に浮かべながら、このクライアント、今日のクライアントは、どこで落ち着いていくのかを探りながら話を聞いていきます(メンタルレスキュー協会の個人上級講座ではこのトレーニングを行いいます)。時には、カウンセラーの想定を超えたところに、クライアントが着地して、「今日はいいカウンセリングでした」と笑顔で帰って行くことも多いものです。

悩みの表面的構造だけで、すぐに一つの対処方法が出ることはないのです。新聞のお悩み相談は、その意味で、限界があります。ですから、自分に合う回答の場合は、ラッキーと思って取り入れればいいし、もし合わない回答なら、忘れればいい。少なくとも、回答のように感じられない、行動できない自分が「ダメ」だなんて思う必要は、まったくないのです。