大阪なおみから何を学ぶかⅡ

 

大阪なおみの復活力についての続編です。前のブログで紹介した復活ポイント、2セット目を奪われたショックから立ち直るトイレットブレークの間に、大阪なおみが考えたことについての考察です。その時の彼女の思考について、レジリエンスコーチの深谷純子さんのブログなどで、さらに詳しい状況を知りました。試合後の英語でのインタビューを総合すると…

・自分は感情的になりがちなので、短時間で切り替える練習を積んできた。

・2セット目は相手が素晴らしいテニスをした。

・まず、まだタイで負けているわけではないと思い出した。勝てるチャンスは十分ある。

・良い観客、環境に恵まれ、素晴らしい体験をしている。

・相手は世界トップレベル。もっと相手リスペクトして、謙虚に戦おうと思った。

・去年の全豪オープンは4回戦で敗退した、今年は決勝まで進めてすごいことだ。

・私のサーブは強い

 

これを読んで、私が思ったことは2つ。

なるほど、やはり「複数」なんだ…。ということと、なるほどやはり「パターン化」されるのだ、ということ。

複数、というのは、人が感情を落ち着かせようとするとき、一つの思考で自分を納得させるのではなく、いろんな考え方を使う解くこと。バズーカ砲ではなく機関銃的。

パターン化というのは、有効な考え方にはいくつかの類似点(パターン)がありうるということ。

実は、感ケアの最考の部分でトレーニングしている、サイコーの評価法と7つの視点はパターン化のツールです。

サイコーの評価法の形でまとめ直すと、3つの良かった点は、去年より良い、まだ負けてない(プロセス)、サーブは勝っている(部分)、いい経験をさせてもらっている(その他)。

悪いところは、少し勝ちを意識しすぎた。改善点は、もっと謙虚にチャレンジャーとして戦おう。

7つの視点としては、自分視点:最後は少し感情的になっていた、でも疲れていない。相手視点:2セットは素晴らしいテニスだった。第3者視点:まだタイだ。上から視点:観衆は平等に応援してくれている。時間軸視点:これから第3セット、勝つチャンスがある。ユーモア視点:みんなの前で涙を流している滑稽なチャンピオン

感謝視点:昨年より上に来ている

 

ただ、このようなツールはあくまでも道具。相手へのリスペクトは、大阪なおみには、「だから一セット落としても当然」と自分のハードルを下げる思考になりましたが、「相手は強いから、負けるしかない」と感じる人もいるでしょう。

「昨年よりはまし」という発想も、「だからもう十分だ」とネガティブに受け取る人もいます。

つまり、単にツールを使えばいいというものではなく、自分にとって響く、自分なりのツールの使い方を日ごろから練習しておかなければならないということです。

「自分は感情的になりがちなので、短時間で切り替える練習を積んできた」

彼女のこの言葉が、実は一番大切なメッセージなのではないでしょうか。