三浦春馬さんがお亡くなりになって、2週間以上が経過した。自殺予防にかかわる者として、群発自殺を心配していた。
群発自殺とは、一人の影響力のある人の死が、他の方の自殺のきっかけになってしまう現象だ。20年前の岡田有希子さんの自殺後、2週間で30人以上が、彼女と同じような方法で自殺したことなどが、よく知られる事例。
三浦春馬さんの件は、私の周囲でも、かなり多くの人が大きなショックを受けていたので、ある程度の群発自殺は想定していた。
ところが、今回はどうも群発自殺が発生していないようだ。もちろん、まだ2週間だし、私が精力的に調査をしているわけでもないので、正確なところはわからないが、もしかしたら、報道規制が功を奏しているのかもしれない。
さらに、あくまでも個人的感想だが、多くの群発を詳しく振り返ってきた私の体感からは、時代の変化が影響しているように感じる。
個の時代。好きな人は熱狂的に好き。でもそのほかの人はあまり関心がない、という時代。
一曲の歌謡曲が日本中で歌われ、日本中が同じファッションをしていた時代とは違い、他者の影響が一般化しにくく、群発になりにくいのかも知れない。
一方で、気になることもある。以前はTV・ラジオ、週刊誌で均一の情報が、ある期間に集中して流れたが、今は、ネットで物語的な記事が今でも小出しに出てきて、さらにYouTubeなどで映像化もされている。ネットには報道規制が効きにくいし、どこまでも検索できるので触れる情報量が大きくなり、感情の暴走を招きかねない。
ただでさえ、コロナの遅発疲労、社会不安、経済的ダメージと、メンタルヘルスのリスクが大きくなっている。この夏、いろんな影響を受けたうつの悪化、自殺が増えなければいいのだが。