荷下ろし・遅発疲労

疲労は現代人のストレスの中核をなしています。あふれる情報により感情が刺激され続ける(不快感情の苦)ことで疲労が蓄積します(エネルギー苦)。疲労が蓄積すると、いろんなことに過敏に反応(2倍・3倍モード)するので、感情が沸き立ちやすくなり、不快感情の苦とエネルギー苦が連動して増加し、ストレス状態が悪化していきます。

原因でもあり拡大要因でもある疲労ですが、なかなか気が付きにくい。気が付きにくい理由の一つが、ストレス源と苦痛との時間差です。

ストレスフルなイベント(たいへんな仕事、人間関係、生活環境の変化・悪化、各種トラブルなど)の最中は、その対応で夢中で、あまり苦しさを感じなかったのに、それが終わってから急に苦しさを感じるようになる。これが「荷下ろし」と呼ばれるものです。

最中はアドレナリンが苦しさを麻痺させているのですが、イベントが終わるとアドレナリンも出なくなり、イベントの間に傷んだ身体症状や精神症状(蓄積疲労によるうつ的思考)を急に感じるようになるのです。

この荷下ろしの状態では、通常、蓄積疲労の第2段階(2倍モード)になっています。日常のストレスが2倍でのしかかってきます。ですから、大きなイベントの後は、疲労の借金状態を解消するまでの間、しばらくは休養が必要なのです。

もしこの休養期間をとらずに、以前の日常に戻ると、「遅発疲労」が起こることがあります。イベントから、しばらくたってから不調を自覚するようになるのが「遅発疲労」。半年から数年後に生じるうつ状態悪化のことです。

荷下ろしで、第2段階になっていても、第2段階までは、苦しさを無視してまだ仕事ができてしまうのです。本人も、「つらかったイベントは乗り越えた、今は以前と同じ活動をしているだけ」と思っているのですが、第2段階の状態で受けている負荷は、2倍。日々を過ごすのに1万円かかる人が、2万円かかる状態。毎日を過ごしているだけなのに、借金はなかなか減らないだけでなく、むしろ増えてしまいます。第2段階にある蓄積疲労は、日常的なストレスや仕事だけでもじりじりと悪化し、数か月、時には数年たったころに、第3段階の明確なうつ状態に至ることがあるのです。

大震災などの大きなイベントを生き抜き、避難所や仮設暮らしを乗り越え、新しい家に入り、さあいよいよこれからというときに、どっと疲労が押し寄せうつ状態になり、気力も活動力も失うというケースがありますが、これが、この遅発疲労に当たります。

荷下ろし、遅発疲労。このようなメカニズムがあることを知り、イベントが終わった後も、継続的な疲労対処をしていきたいものです。