パラリンピックを見て思うこと

パラリンピックが開催されている。私も現職(自衛官)の時は余裕がなくて注目できなかったが、今回は目にする機会が多く、いろんな刺激を受けている。

その中でも、知的障害のクラスの選手の活躍。

義足や車椅子の選手、足や手がなくても泳いだり走ったりする選手、目が見えない選手によるサッカーなどは、一見するだけで選手のすごさを想像できる。ところが、知的障害のクラスは、何がどうすごいのか、すぐにはピンときにくい。

400メートルの外山愛実さんについての報道があった。映像を見る限り、とても美しいフォームで力強く走る。どこに障害があるのだろうと思う。ところが、普通、人は何らかのスキルを鍛えるとき、やる気や根気を維持し、工夫をこらし、さらに結果や周囲の反応に対するいろんな気持ちをコントロールしながら、練習を積み重ね、試合を勝ち進む。

知的障害の方は、この練習メニューの理解や、感情やモチベーションのコントロールが普通の人より苦手だという。確かに、それはスポーツ選手にとって大きなハンディになってしまうだろう。

では、足の機能は義足という道具で補完するが、知的障害は何で補完するのだろう。

それは、選手を支える人であるという。

山田愛実選手の場合、奥山美恵子コーチ。奥山コーチは、なかなかやる気の出ない山田選手のやる気が出るスイッチは、「怒り」であることを見つけた。出来ない自分、厳しいことを要求する先生、それらの怒りがパワーになり、練習や試合で好成績を生むという。

「自分ではそのスイッチを押せないので、第3者(私が)その怒りスイッチを入れてあげることが強さの秘訣」だと奥山コーチ。怒りは確かにものすごいパワーを生むが、それを人間関係を崩さずに刺激できるのが素晴らしい。宮崎弁で話すので個人的にも、とても親近感がわいた。

さて、この集中やモチベーション、感情のコントロールは、我々健常者でも苦労するもの。ただ、なかなか奥山コーチのようなサポートは得られにくい。出来れば、自分の人格の中に、奥山コーチのような自分にぴったりのコーチを作り上げたいものだ。

感ケアでは、そんな自分のままならない感情、欲求、意欲などを上手に自己コーチする技術をトレーニングしている。心の中に、それぞれの奥山コーチを作っていこう。

 

追伸:コロナがほんの少しだけ収まりつつある。ただ、コロナの直接の不安は収まっても、その後にしばらくの間疲労が続く時期が来る。そのあたりのメカニズムを「心をリセットする技術」のライターさんである柳本操さんが記事にしてくれた。興味深く読みやすい記事、一読を。