大人の心の学習法(7)

ラーニングピラミッド

  ラーニングピラミッドという研究があります。

情報の発信者が、100の知識を発信した時、それが本という形なら、受け取り手(この場合読者)が受け取る平均値は、どれぐらいだと思いますか。

なんと10/100、つまり10%程度だそうです。驚きですね。

もちろん平均なので、「私は本からもっと学んでいる!」という方は多いと思いますが、ツールごとの比較としては、本というツールは伝達力がそれほど高くないという結果です。30冊以上執筆している身としては、結構へこむ数字です。

では、講義はどうでしょう。講義は講師の実力や受講生の意欲などが関連し、個別の差が大きいとは思いますが、平均を取ると、なんと読書より少ない5%なのです。大学の講義を思い返すと、「そうかもしれない…」と納得してしまったり(笑い)。

では、伝達力の高いツールは何かというと、視聴覚教材、演習(机上のシミュレーション)と伝達度が上がり、グループ討議をすると、半分ぐらいの知識が伝わります。そしてやはり知識だけでなく、それを実行してみる「実習」が加わると、75%まで跳ね上がります。

前回もお伝えしましたが、本やインターネット、このブログもそうですが、ただ知識として頭に入れただけでは、本当の知恵にはなっていかないことが多いのです。知識を行動に移し、試行錯誤を繰り返しながら、自分の血となり肉とする。この行動力と勇気が大人の心の成長には、欠かせない要素になります。

ちなみに、一番高い伝達力を示したのが、「教える」という行為。学んだことを教えようとすると、必死で自分のものにしようとします。実習もすることが多いでしょう。インプット(単なる理解)からアウトプット(説明し、デモし、質問を受けられる)までは、かなりの実力差があります。

私が理事長をしているNPOメンタルレスキュー協会のカウンセリングトレーニングでは、理論学習→ロールプレイ(実習)、ロールプレイの試験(アプトプット)→教える体験→教える試験と、ラーニングピラミッドの効率のいいツールでカウンセラーを育成しています。そのせいか、皆さん本当に早く実力をつけていってくださいます。それが、育成者の喜びにもつながっています。

 

感情のケアプログラムも、常に実習が主体。時には、つらい感情体験もしますが、実習なくしては、大人の心を習得できません。頑張っていきましょう(^^)/