大人の心の学習法(10)

「守」の習得が早い人、遅い人

 数日の感情ケアプログラムで、グンと成長を感じる人と、なかなか効果を感じにくい人がいます。新しい知識を学ぶ時の最初のステージ、「守」のスキルの習得が早いかどうかですが、何が違うのでしょう。

 端的に言えば、「素直」かどうか。

 素直な人は、とりあえず講師の言うことを、そのまま試してみようという姿勢があります。なので、受け入れも早い。

 素直になれない人には3つのパターンがあると思います。

 一つ目は、知的な人。

素直な人は、反面、だまされやすい人であるとも言えるでしょう。

 多くの知的な人は、与えられた情報に対して、「本当か?」「騙されていないか?」「論理的か?」「矛盾はないか?」と考えてしまいます。すると、どうしても警戒しながらトレーニングすることになり、習得が遅くなる。

 もう一つは、これまでやったことがない、という違和感で、受け入れられない人。知識からのブレーキではなく、感性からのブレーキが強いのです。

 3つ目は、これまでやってきたこととの違いが大きいとき。

 努力してあるスキルを身に着け、今それを信念として生きている。その経験と異なる情報に接した時、本能が「これまで費やした時間とエネルギーを否定する」情報に対し、反発してしまうのです。若いと、これが少ないが、年齢を重ねるに従い、大きくなります。

 

 感ケアやカウンセリングスキルをお伝えしていて、少し残念に思うのは、1、2、3が重なる人がかなり多いこと。

知的な興味があるので講座に参加している。でも、新しいことに驚き、引いてしまう。さらに、これまで勉強してきたことと違うので、戸惑う…。知的なのですが、感性や本能の部分で、ブレーキがかかっている。

知的であり慎重であり、長く学習していることは、一般的には、長所になる素質・経験であるにもかかわらず、本当に良いものに接しても、なかなかそれを受け入れることができなくなっているのは、残念なことです。特に、大人になり、自分で学習することを選択できるようになるにつれて、この傾向が顕著になります。

守の段階では、まずは、素直に受け入れてみましょう。

私がおすすめしている「守」の態度は、まずは「騙された」つもりで、新しい知識を試してみる。どこかにその知識が伝えたい利点があるはず、それを見つけるつもりで、ある程度練習を続けてみる。3か月ぐらい、練習40回ぐらい、はそんなモードで取り組みます。私は、「いったんはかぶれてみる」という表現をしています。

もちろんその中で、批判精神は残っていてもいいのですが、「守」の段階では、「7は信じる、3は疑う」ぐらいのバランスが適切です。

でも…、簡単にだまされるのも嫌、というのも本音。

 

次回は、そんな方向けに、「守」についてもう少し深く考えてみましょう。